5月5日にステージタイガーでは高校演劇部に向けてのワークショップを行ってまいりました。
600人以上にも及ぶ演劇部のみなさんと一緒にステージタイガーがいつも行っている基礎練習の一部を行ってきました。
今回は、学生さんからも「どんなトレーニングがあるんですか?」と質問もお受けしたので、
時間の都合で省かざるをえなかった練習の内容なども含め、解説編のような形で一つの記事にまとめようと思います。
俳優には鍛えないといけない3つのものがあると考えています。
それは『心』『身体』『声』です。
今回のワークショップではその3つ要素をそれぞれ高めるカリキュラムを用意しました。
シアターゲーム
体育館の中を歩く
意識すること…できるだけ同じ速さで歩く 目線を下げずに歩く お客さんが見ていると思って歩く
意識を分散して歩く
@ 体育館が綺麗に埋まっている(歩いているみなさんの人口密度が等しくなる)ように歩く
慣れてきたら、速度を速めて、早歩きや少しランニングで(ぶつかる危険があるのでランニングは控えました)。
A 同じことを後ろ向きでする(人数が多いため今回は控えました)
B すれ違った人とウィンクをする(慣れてきたら、すれ違った側の目でウィンク)
C すれ違った人とウィンクしながらハイタッチをする
D 加えて、自分の名前を言う。
Aは先日のワークショップでは行いませんでしたが、みなさんの演劇部でのお稽古では周りに危険なものがない状態で行ってみてください。その際に、全員でするのではなく、危険がないように何人かが外から見守るのもいいと思います。
B〜Dはアクションが増えていきますが、最初に@でお伝えした「密度が等しい」状態を保ちつつ歩いてください。
これが「意識を分散する」ということです。
自分のことだけでなく、周りに何があるのか、誰がどうしているのか、アンテナを張りながら同時にいろんなことを行う。
相手を見ながら、お客さんを意識しながら、段取り、決まりごとがある中で気持ちを込めてセリフを言う。
自分自身の心の中をコントロールする技術を養っていきましょう。
プレゼントゲーム
@ なんでもいいのでお互いにプレゼントを贈り合う。
できるだけたくさん贈り合う
送るものをしっかりと想像して、大きさや質感を丁寧に作る。受け取る側もしっかりと再現する。
もらって嬉しいと思ってもらえるものを贈る。
A 貰ったものから連想したものを贈る。
A『あなたに●●をあげます。』
B『ありがとう。では●●にピッタリの○○をあげます。』
A『ありがとう。では○○にピッタリの◎◎をあげます。』
相手にもらったものから関連するものを贈り合う。
B だんだんと高価なものを贈る。
スタートは「うまい棒」
以上、ゲームではありますが、これが台本に書かれた台詞と考えてみてください。
相手の台詞があります。
@ それを受け取る
A 感じる
B それを自分の台詞にして、相手にしっかり渡す
という演技のメカニズムと同じ心の動きをしています。
しっかり相手の台詞を受けて、感じて、渡す。それが台詞の基本になります。
■ダイナミックストレッチ&筋力トレーニング
身体にこれから動かしますよという合図を送る動的ストレッチ。
ゆっくりじわっと伸ばしていくのではなく、関節を動かして、可動域を確認し、怪我の予防につなげます。
10分間腹筋
10種類の腹筋を1つ30秒×2セットで合計10分(今回は1セットのみ)
@ 両足を揃えて上下にあげる
A 片足ずつ交互に上下にあげる
B 足を左右に交差させる
C 腕立て伏せの格好になり、膝を胸に引き寄せる
D ボートを漕ぐような格好になり、膝を胸に近づける
E 仰向けに寝転び、上に伸ばした足のつま先を左右の手で交互にタッチする
F 長座の格好になり、左右に身体をひねり地面を触る
G うつ伏せになり、肘から先の部分で身体を支える(頭からかかとまでが一直線になるように)
H 身体を左に開いて、肘から先の部分で身体を支える
I Hの反対向き
サーキットトレーニング(づテージタイガーでは3セットを目安としています)
腕立て伏せなどの「無酸素運動」の間に40秒以上の「有酸素運動」を入れて継続的にトレーニングをする。
ここでは、前回時間の都合上行わなかったトレーニングも載せておきます。
スクワット(膝がつま先よりも前に出ないように、太ももが地面と平行になるまで)
腕立て伏せ(身体をまっすぐに保ち、下から上に押しあげます)
腹筋(背中を地面につけないように意識します)
背筋(つま先は地面かは話さないようにします)
片足スクワット(アキレス腱を伸ばすような格好になり、前の足を太ももが地面と平行になるまで下げます 左右行う)
上記の動作を4カウント/4カウントで上げおろしします。
ゆっくりと、勢いをつけず、コントロールしながら動かします。
そして、それぞれのトレーニングの間に有酸素運動を挟みます。
今回行った上半身をひねるツイストや、場所があれば走っても構いません。
40秒以上の運動を行います(今回は60秒としました)。
大切なこととしては、できないことはできなくて構わないので、がんばってみてほしい。
ただ、がんばることと無茶をすることは違うので、自分の身体は自分で守ってほしいということ。
そして、一番大切なことは、笑顔!
休憩10分
静的ストレッチ
先ほどの筋トレをする前の動的ストレッチとは深い違い、鼻ですってS音で吐く、複式呼吸をしながらのストレッチをします。
肩甲骨を伸ばすストレッチ
肩のストレッチ
股関節のストレッチ
太ももの前後、ふくらはぎ、アキレス腱のストレッチ
首周りのストレッチ など
首の周り、つまり声帯の周りの筋肉をほぐすこと。上半身は脱力してスッと立ち、下半身をクッションのようにしてそれを支えるため、下半身もしっかりほぐしていきます。
腰や膝を壊さないために、太腿やふくらはぎ、お尻の筋肉をほぐすことはとても大切です。
寝転んでストレッチと呼吸をした時は、起き上がる時は上半身や腕などに力を入れず、ロールアップして立ち上がります。
発声
呼吸法 ストレッチの時と同じく鼻から吸って口から吐くというのが基本となります。
無声音のスタッカート。スッスッスー、というのを腹式呼吸を意識して行う。1分間。
スーというS音 から ズーというZ音へ。
喉と唇を震わせるハミング。震わせる部分を唇から鼻へ、鼻から頭頂部へとかえていく。
顔全体を震わせるポイントを見つけたら、
ハミングから徐々に口の形を「あ」に解放して声にしていきます。
撥音(スタッカート) あえいうえおあお あ行からわ行まで、その後に鼻濁音のか°行、が行からぱ行まで。
できる限り大きく顔を開いて、顔全体の筋肉を動かすようにして発声。終わったら顔がホカホカしているぐらい。表情筋の筋トレになります。
あめんぼの歌(北原白秋さんの歌)
あいうえお回し あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ と1文字づつずらして
リズムよく、全員で心を一つにしてテンポを合わせて発声をします。
短い時間でしたが、今日は『心』『身体』『声』を鍛えました。
でも大事な事はこれを「続ける事」です。
すぐにうまくなるわけではありませんが、続けていれば確実に成長していきます。
地味な基礎練習を毎日積み上げる事が本番の成功につながります。
今日一緒にやった練習を少しずつでもいいので、それぞれの演劇部の練習で反復してもらえれば嬉しいです。
お疲れ様でした。
演劇部の生徒さん、また顧問の先生、何か質問ごとがあればステージタイガーのメールアドレスや、
ツイッターのリプライなどでご質問ください。可能な限りでお答えさせていただきたいと思っています。
お疲れ様でした。
そして、我々も、みなさんにお伝えすることでたくさん得られるものがあったと思います。
ありがとうございました。